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『バズー!魔法世界を詠む』 これまでのあらすじ
序章

 遙か昔「イアルティスの地」は、創造神フェスターの庇護の元、ガゼルファン帝国を名乗り、華やかな魔法文明を築いていた。

 しかし栄華を誇った魔法帝国も「大災厄」と呼ばれる天変地異によって崩壊し、領土の大部分は水没してしまった。偉大なる八番目の魔法は失われ、各地に別世界への門が開き、門から湧き出た魔物達が町や村に溢れかえった。

 荒廃する世界にあって、帝国の再興を夢見る人々は、魔物に立ち向かうべく騎士団を結成して戦いを挑んだ。騎士団がエルフ族と同盟を結ぶと、同盟軍は亜人間の集団を辺境に追い込んで大陸の主導権を取り戻す事に成功した。その後、エルフ族が傍観の立場に移る中、人間と闇の民ベラニード族との戦いがイアルティス全土で繰り広げられた。数年の時をかけ多くの犠牲者を出した戦いは、ベラニード族が地下に封印される事で終結し、騎士の時代は終わった。

 平和を勝ち取った人々は、「ガゼル王国」を建国したが、騎士団、教会、魔術院の三勢力の対立により王国は崩壊し、騎士団を中心とするデュエルファン王国、教会を中心とするネーファン王国、魔術院を中心とするラルファン王国の三つの王国に分裂してしまった。

 こうして、独立した三つの勢力が、互いの力が必要不可欠である事に気付くには、さほど時間はかからなかった。三王国は、それぞれの主権を認め合う事で同盟を締結し、イアルティスの地は平穏を取り戻した。

 それから五百年。再び繁栄の時を迎えたイアルティスにとって、過去の凄惨な記憶は吟遊詩人の歌う物語となりつつあった。しかしこの時、未来を予言する「パルの鏡」は、新たなる「魔の時代」の到来を告げていたのだった……。
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