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『ポンコツロマン大活劇バンピートロットを詠む』 これまでのあらすじ

『キニス・プルウィア』 - 003

キラーエレファント団によるネフロネフロ制圧という大騒動は、キニスの無謀な行動によって不思議な成り行きを呼び、解決された。
今はどこにも根っこを持たない彼だから、盗賊団のボスも面白がったのかも知れない。
とにかく、悪い連中ではなさそうだった。

戻ってみると、街の人々が送る称賛の声はこそばゆく、キニスは困ってしまった。
だから彼は、沈む夕日のようにひっそりと退場する。
その帰り道で、事件を聞いて心配したコニーが町へ帰ってきた事を知った。

「世界はもう、どこもかしこも誰かが行った場所だらけだ」
キラーエレファント団の人事部長は、本気で月へ行こうとしているらしい。
それは絵空事のようにも聞こえたが、世界の中で自分の知っている場所があんまりにも少ないキニスには、よく分からなかった。
夕焼けの片隅で居心地悪そうにしている月を見ながら、彼はたった一日だけ共に過ごした友人の笑顔や、彼女が口ずさんだ歌を思い出していた。
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