彼らに纏わる話 005
妖しい笑みでKATUを唱えれば、蜂やキノコであっても簡単に魅了支配してしまうオクサナ。
彼女は迷宮都市で日々を過ごす事となっても、やはり地上と同じく、ふらふらと一人でどこかへ遊びに出かけているようです。
そして人知れず帰ってくると、仲間の側に寄り、唇に指を当てて小首を傾げます。
「サイードは、何であのような事を言ったんかの? ほれ、ゾフルが生きてるか死んでるかなどと」
アイリーンなどは聞く耳を持たず、サリアンナが描いた地図を眺めていたりします。
それでも、可愛らしい声はペラペラと喋り続けるのです。
「おかしな事を言うもんだ。そんなに馬鹿だったか? それとも、何かを考えた上? いや、あやつは操り人形じゃ。きっと誰かが得をするんじゃろ。ゾフルちゃんが消えたり、もしくはウチらが混乱する事で。そういえば、最近一段と動きが鈍いな、あやつは。まるで……」