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『wizardryで物語る』 Appendix Story
彼らに纏わる話 011

今日を生き残るために、誰もが必死です。
必死のはずです?
明日を生きるために、体を鍛え、戦闘技術を磨かなければなりません。
一体いつまで続けなければならないのでしょう?
前に進むために、ここを出るために、必要な能力を揃え、困難を予測し、適切な道を取る必要があります。
あなたは本当にそれを望んでいますか?

「来年の事を言えば鬼が笑う」
「……何それ?」
「古いレベリオの言葉だ。将来の事など予測出来はしないと」
「……面白いね」
「くだらん。考える頭も状況を打破出来る力もない者の言葉だ」
「あたしは結構好きだね。このしみったれた迷宮によく似合ってるよ」
「うむ、素晴らしい言葉だ! 我々も参考にすべきだとは思わんか? あの部屋には入らなければならない。しかし中が分からない。ならばまず入り、切り抜ける手を見付けるのが順番だ」
「クク。明日の事を言えば、ゾフルが笑う!だな。でも確かに、機会が逃げないと思うのは成功を掴む必要のない貧者だけじゃ」
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